私達40代以上のオッサンは、音楽メディアの歴史の生き証人である


前にラジオで聞いた、
武田鉄矢さんのハッとした一言、

「現代では、音楽は流れるものではなく、
個人の頭に注入されるものになった」

・・確かにそうです。
昔は、流行歌は至る所で流れ、
老若男女みんなが口ずさんでました。
今ではオジサンが全く知らないところで、
ヒット曲が大量消費されている・・
皮肉な物言いですが。

テクノロジーの進歩で音楽は姿すら無くし、
いつでもどこでも手に入れられて、
楽しめるものになりました。

良い時代になったと喜びたいところですが、
私みたいなオジサンは、
いささか寂しさも感じるのです。

音楽が好きで好きで抱き締めたくても姿は無く、
しかもネットで何処へでも行ってしまうのですよ。
切なくないですか?

かつて、レコード盤に針を乗せる時のトキメキ感は、
何にも変えがたいものでした。
レコードジャケットなんて正に抱き締めてましたよね。

よく考えたら、私を含む40代以上の方々は、
レコード、カセットテープ、CD、MD、
音声ファイルといった、
歴代の音楽記録メディアを全て体験した、
大変貴重な年代だと思うのですね。

私が物心ついた頃は、
レコードとカセットテープの時代でした。

私が小学生の頃、
兄はラジカセをテレビの前に置いて、
「ザ・ベストテン」から流れる歌謡曲を
声を潜めながらカセットテープに録音し、

中学生の頃の私は、
レコードの溝に溜まるホコリと、
カセットデッキのヘッドの磁気を取るのに、
躍起になっていた、そんな時代です。

アナログの劣化した音補正する必要性からでしょうか、
当時のコンポやラジカセにはよく、
イコライザー機能が登載されてましたよね。

通常は5バンドくらいなんですが、
それ以上にズラッと並んだものを見ると、
テンションが上がったものです。

可愛い子には良い服を着せたくなるように、
録音するカセットテープにも拘りましたよね。

maxell-UDⅡというハイポジテープは高音質に加え、
黄金に輝く見た目もカッコ良かったなぁ~
ワム!の「Bad boys」が流れるCMも印象的でした。

ノーマルテープではSONYの、
真ん中が帯状にスケルトンになってるやつが、
渋くて良かったです。

メタルテープは、
自分のラジカセが対応してなかったので、
使用を断念せざる負えませんでした。

変な話ですが、みなさんは、
クロームテープやメタルテープの、
あの強い金属臭がクセになりませんでしたか?
私だけですかね・・

カセットデッキ内のヘッドやピンチローラーを
綿棒で掃除したり、
テープがデッキの中で絡んでるのを救出したり、
カセットテープの録音防止ツメを折った後の穴に、
ティッシュ詰めたりテープ貼ったり・・

アナログ真っ盛りの時代では、
これらが日常の業務でした。

また、私が中学の頃まで、
レンタルレコード店というのがまだあって、
たまにやる中古レコードのセールにも、
よく飛び付いたものです。

レコードに静電気防止スプレーをしてても、
ホコリが溜まるので、木工用ボンドでパックしたり、
CDが普及し始めた頃、
レコード針が生産中止になると聞き、
急いでまとめ買いしたこともありました。

私と同世代以上の方には、
あるあるネタではないでしょうか。

私は音楽好きの延長で機材の方にも興味を持ちます。
中学の頃には、
拾ってきたラジカセからスピーカーを取り出し、
自分のラジカセに繋げて楽しんでました。
小慣れてくると、間にコンデンサーかまして、
ツィーターの音を出したりもして。

その頃のコンポやラジカセって、
ツマミやフェーダーがいっぱい付いてて、
結構、カッコ良かったと思うんです。
アナログの機能美とでも言いましょうか。
海外のラッパーが、
日本製の古いラジカセを肩に乗せながら、
ストリートを闊歩したがるのも分かりますよ。

やっぱり、
音楽を奏でる道具もセットで愛したい欲求が、
人間には元々あるのでしょう。

そして、MDの出現も私にとっては事件でした。
なにせ、デジタル録音した音源を編集できるのですから、
衝撃でしたよ。
CDのマイベストを作るにも、
バンドのライブ録音にも大活躍でしたね。

ちなみに、
私が所有していたpioneerポータブルMDプレーヤーは、
生涯における家電部門でのMVPです。
スロットインでMDを出し入れする感触も、
たまらなかったですよ。

しかし、気が付くとMDの存在は隅に追いやられ、
店頭でもMDデッキは消えて無くなりました。
私は納得いきませんが・・

そんな私も今や、音声ファイルでも音楽を楽しみますが、
未だに「ファイルごとき」という観念を拭えません。
いくらハイレゾとか言われても、
私の中のCD・MD崇拝は揺るぎませんね。
まだレコードの深みを理解するまでには至りませんが。

そんな時代遅れの私にも、ささやかな目標があります。
将来、自宅に音響設計されたAVルームを造り、
高級オーディオを組むことです。

その部屋でソファーに深々と座り、酒を傾けながら、
ドヴォルザーク「新世界より」の、
大音圧の中へ身を晒すのです。
かぁーっ!たまりませんなぁ~

オジサンの人生は、これからもバラ色のようです。
今回はこれにて失敬!

最後まで読んで頂き、大変ありがとうございました。

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