漫画「北斗の拳」は大人達のバイブルだ!

♠ 日本中を熱くさせた「北斗の拳」

今回は漫画「北斗の拳」の素晴らしさをひたすら語るのみですが、興味ある方も無い方もゼヒ読んで頂きたいと思います。

この漫画は私が中学生だった30年以上も昔、週刊少年ジャンプで連載され社会現象になったほどの大ヒット作品です。

当然、私も読みましたし、みんな「ひでぶっ」や「あべしっ」が常套句になるくらい夢中でした。

しかし最近、久しぶりに読み返して思ったのですが、これはとてもとても中学生が全てのメッセージを捉えられるような漫画じゃあ無いですね。

多くの人生経験を積んだ大人達が読むべき崇高な愛と哀しみの物語です。

私はコミックで全巻一気に読みましたが、こんなに泣いたことないよってくらい感動して泣き崩れました。

物語の舞台は核戦争後の荒廃した未来世界ですが、

どこにそんなタンパク源があんだよってくらい筋肉隆々の悪党どもがワンサカ出てきます。

こいつらの外道ぶりも可笑しいくらいなんですが、

それをまたウソみたいに強いケンシロウが眉一つ動かさず成敗するのも笑わせます。

劇画という性質上、強い男は皆イケメンであるという「リングにかけろの定理」に傾倒してるのはいささか仕方ないにしても、

宿命に殉ずる北斗と南斗の戦士達の生き様が本当にカッコ良いですよね。

私はその中でも五車星の一人、雲のジュウザが大好きです。

自由奔放な生き方もカッコ良いのですが、型のない我流の拳がまた、強いのなんのっ!

ラオウにすら躊躇なく無防備に間合いを詰める姿は、あのヒクソン・グレイシーを彷彿とさせましたよ。

ラオウ「容赦はせぬぞ!」⇒ジュウザ「したらお前の負けだ」⇒ラオウ「よういうた!」

こんな、ラオウとのやり取りも大好きなんです。

♠ 神に選ばれし暴君、それはラオウ

この物語最大の山はやはり、北斗三兄弟による因縁の決着劇でしょう。

北斗神拳が一子相伝で天を握れるほどの覇拳故に、それに関わる者達は壮絶な運命によって神から愛を試されることになります。

中学時代の私は、ラオウを「他の悪党より気高くて、滅法強いラスボス」くらいの認識しかありませんでした。恥ずかしながら・・

しかし、改めて読み直すと、ラオウこそがケンシロウとトキ、ユリアのみならず、

北斗と南斗の戦士全員を巻き込んで時代を動かした巨人であったことを知り、私は愕然としたのです。

ただの非道な悪党なら時代は見向きもしないでしょうが、

ラオウは日本史における織田信長のように、乱世で神に必要とされた暴君なのです。

ラオウがケンシロウに倒された後、それをほのめかすユリアの一言に鳥肌が立ちました。

「統一を果たしたラオウは、自分が愛を持つ者に倒され、とってかわられる事を願っていたのでは・・」

うぉぉぉおおっ!ラオウーーーッ!

そして、その前のクライマックス、ケンシロウとの闘いは圧巻。

敗れたラオウはケンシロウを称え、

「わが生涯に一片の悔いなし!」

と、拳を天に突き上げて絶命するシーンは、ただただ凄いとしか言いようがありません。心が震えました。

「あしたのジョー」のラストに匹敵する漫画史に残る名シーンですよ。

私は愛と哀しみの戦士ケンシロウよりも、愛への劣等感を抱く、孤独な戦士ラオウが好きです。

この物語は、愛深き故に愛を捨て、非情になる戦士が多く登場しますが、ラオウはその代表です。

しかし、愛に背を向けるほどに、愛と哀しみに満ちたケンシロウやフドウとの闘いで恐怖に襲われます。

ちなみに、フドウはラオウの部下達に弓でトドメを刺されますが、

「なぜ自分を射なかった」と部下にキレるほどストイックなラオウが私は大好きです。

ついでですが、ラオウのセリフって、唯我独尊調でカッコ良いですよね。

「ならば、神とも闘うまで」だとか、

「うぬら下衆どもにはわからぬわ!」とか、

「敗れて、命を拾おうとは思わぬわ!」とか、

「喰えぬ男よ・・」とか・・

このへん、他の戦士にはない、孤高のダンディズムを感じてシビレるんです。




♠ 北斗三兄弟よ永遠に

少しラオウを引っ張り過ぎましたが、もちろん、もう二人の兄弟もイカしてます。

北斗史上最も華麗な技をもつトキ。

しかしあえて剛の拳で実兄ラオウに死闘を挑んだ覚悟と、勝つも最後に情けをかけたラオウの優しさ・・

どこにこんな壮絶な兄弟の絆があるでしょうか?

嗚呼・・涙がとまりません。あんたらは美しいよ・・・

そして主人公、北斗神拳伝承者ケンシロウは強い。さすがに強い。

敵を食らって己の強さに代えたラオウに対し、

ケンシロウは強敵(とも)の哀しみを己の強さに代えた。

その差が、最後の決着で明暗を分けたんですな。

それから、拳王部隊からフドウを救った後のケンシロウの一言、

「子を捨て、心を失ってまで、この世になにを望む!」

これは全世界の人にも届けたい、とてつもなく大きなメッセージです。

こんなスケールのでかい愛の戦士に、聖母のようなユリアが寄り添うように物語は完結。

はぁ・・ブ、ブラボ・・ブラボー!

私は読み終わった後、全身が脱力するほど愛に満たされました。

そして、ラオウのように誇り高く、トキのように優しく、ケンシロウのように強くありたいと、心から思ったんです。

是非みなさんの手元にもこの漫画を全巻揃えておくことを強くお薦めします。子から孫に読み継がれる為にも。

ここへきてこんなこと言うのも何ですが・・・

ラオウ、トキ、ケンシロウは皆つくづく拳法オタクですよね。

あんなに漢字だらけで難しい北斗神拳や他の拳法の技名を無数に暗記してるんですから。

ちなみに、技の解説が一番上手いのはケンシロウです。あ、どうでもいいか!

今回も最後まで読んで頂き、大変ありがとうございました。

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