また例の如く、私と同世代の陸上競技関係者しか共感できない内容ですが、お時間あればお付き合い下さい。
今回はウェアです。
まぁ、シューズもそうなんですが、やはり競技をする以上、全身カッコ良くキメたいのは人間の性ですよね。
私が高校生の頃のウェア事情を振り返ってみましょう。
カール・ルイスとベン・ジョンソンがソウル五輪で一騎討ちした時代と言えば、年代が分かり易いでしょうか?
陸上部の新入部員達は、初めてブランド物を身につける幸福感から青春がスタートすると言ってもいいでしょう。
私のスタートを飾ったジャージは紺色のKappaでした。
なぜか、男女が背中合わせで体育座りする、あのシンボルマークに惹かれたんです。
それは足首がキュッと絞られたタイプのパンツで、私達は「しぼり」と呼んでました。
あ、すみません、当時を再現するため、パンツのことはトレパンと言わせて下さい。
当時は大半の人が、このしぼりのトレパンを履いてましたが、今もありますかね?
しぼりはシルエットが美しく、機能性にも優れたトレパンでしたが、足首のゴムがくたびれるとダサダサになる弱点があります。
私には考えられないことですが、足首のファスナーを閉めたまま脱着するフトドキ者が同期にいましたよ。
こいつに私のトレパンを借して、足首がゆるゆるになって戻ってきた時は、さすがにキレました。
ちなみに、しぼりは足首のファスナーを途中まで開けて、ラフに履くのも粋だっりします。
しかし、シューズやソックスのセンスと、脚の発毛具合もコーディネートに影響するので上級者の着こなしでしたね。
トレパンはしぼりも良いのですが、昔ながらのストレートタイプも私は好きでした。
踵に掛ける帯が付いたようなヴィンテージ物は別ですが・・・
そういえば、先輩が履いていたフランク・ショーターのトレパンがカッコ良かったなぁ。
黒のストレートで、サイドに一本通る反射材のシルバーとグリーンのラインが何とも映えるんです。
しかも、ファスナーが横ではなく後にあるのもニクい!シンボルマークもカッコ良い!
フランク・ショーターは長距離選手が履くイメージですが、その先輩は幅跳び選手だったことも意表をついてカッコ良かったです。
ちなみに我が知念高校陸上部のチームジャージは、全身ネイビーの下はストレート、背に白色のローマ字という渋カッコ良いものでした。
なんでも、中京大跳躍ブロックのジャージを真似たんだとか。私が中京大に入学した時にはなかったんですけどね。
さて、ジャージときたら、お次はコレです!
ウインド・ブレーカー
陸上選手にとって、これほど頼もしいウェアがあるでしょうか?
寒さから身を守り、自分のパフォーマンス力がピークになるまで暖かく包み込んでくれる・・
愛さずにはいられませんよね。
当時を再現するため、このウインド・ブレーカーのことを「ヤッケ」と言わせて下さい。
ヤッケは高価ですから、ジャージのように何着も持てるものではありません。
私が高校三年間を通して持ってたのは一着だけです。それが・・
GONA
みなさんは覚えてますか?
私が高校一年の時、アシックスからセンセーショナルに登場したブランドです。
持ってる方には申し訳ないですが、Recorderなんかより遥かに格上のブランドでした。
車で言えばトヨタのレクサスみたいなもんです。
私はGONA初代モデルの中で一番グレードの高いやつを手に入れました。
このヤッケ、驚くことに伸びるんです。ヤッケなのに伸びるっ!
表面はマイルドな触り心地で、シャカシャカとした摩擦音がしない。
裏地はシルバーではなくゴールド色。よく見れば蜂の巣状の細かい線が描かれている。
重厚感溢れる全身ブラックで、下は細身ストレートの美しいシルエット。
肩と腿に入るシルバーの斜め5本線に、脇下でさりげなく覗く三色帯のデザインは、まさに和洋折衷のディープ・インパクト・・
「めっちゃゴージャスッ!めっちゃ近未来っ!これ着てパリコレ歩いてもええんちゃう?」
私はこのヤッケにベタ惚れでした。この感情は大事です。良いのを着てる優越感は自信にもなりますからね。
そういえば、ヤッケに関するエピソードで「知念高校陸上部ヤッケ盗難事件」というのがありました。
そのままですが、ヤッケが盗まれたんです。部室に掛けてあった男女併せて4~5着ほどが夜のうちに。
私にとってヤッケは恋人でしたから、毎日家に持ち帰っていて、この時は難を逃れました。
「よくこんな大事なものを部室に置いて帰れるよなぁ」なんて、私が同僚に話してた矢先に起こった事件でした。
盗られた人は可哀想でしたね。チャンピオンやらナイキやらの、そこそこ値が張るものばかりでしたから。
同じとこに掛けてあったのに盗られなかった幸運な人もいましたが、「何で俺のは取らないんだよ!」なんてツッコんでましたね。
さぁ、ジャージ、ウインド・ブレーカーまで来たら、行き着くのはやはり、試合ユニフォームでしょう。
試合ユニフォームは、ガチの勝負服である故、機能性とかデザイン云々を超えた神聖なる念が籠ります。
特にインターハイやインカレは各校の伝統がぶつかる合戦ですから、ユニフォームはさながら、紋入りのぼりみたいなもんでしょうか。
モダンなデザインも勿論良いんですけど、古い感じのも味があって私は好きでした。
特に印象に残っているのは、奈良の添上高校と京都洛南高校のユニフォームですね。
二校とも常に陸マガに写真が躍る強豪校でしたから、一段とインパクトがありましたよ。
添上高校のユニフォームは濃紺一色をベースに右胸「添上」の白い行書体が、外人さんも思わずタトゥーを入れたくなるほどの渋さです。
洛南高校は濃紺にショッキングピンクという組合わせが、サイケながら伝統感も滲ませていて素敵です。
他にも、胸のモスグリーン帯に白抜き文字という、オーソドックスを極めた東京農大二高。
真っ赤な中に黄色の「M」が激インパクトだった鹿児島南高。
どこのユニフォームも渋カッコ良かったですなぁ。
ちなみに我が知念高校のユニフォームはと言うと、
上は白地に紫のフチどりと胸にはワンポイントの校章、下は紫のサテン地でサイドに太い白の一本線。
ズバリ、東京女子体育大の真似です。うちの高校、真似が好きですね・・
まぁしかし、このユニフォームは渋かった。
パンツは普通のV字形ではなく、横一線のパッツンタイプで伝統感を醸し出してました。
一応、私が高校二年の時に作ったものなんですけどね・・
このユニフォームを着てハチマキを締めたらもう、戦闘モード全開でした。
練習では全助走の三段跳びが怖くてできないビビりな私でも、試合ではガンガンいけましたから。
余談です。
私の試合用ソックスはチャンピオンの短いやつと決まってましたが、
一度だけフリスト・マルコフを真似て白のハイソックスで跳んだことがあります。もちろんスパイクはアディダスで。
スタンドをざわつかせはしたものの、記録は全然だったので、以降の跳躍は元のチャンピオンのソックスに履き替えて跳びましたよ。カッコ悪~。
やはり見た目だけ真似ても強くはなれなかったですね。
話を戻しまして・・
私のユニフォームデビューは中2の時でした。
学校朝礼の場に選手紹介としてユニフォーム姿で立たされたのは良いのですが・・
ランパンの生地がうっすい!インナーが透けて見えるくらいうっすい!
おちんちんの形そのまんまを全校生徒に晒してるようで恥ずかしかったぁ。
この時のランパンは黒のアシックスでしたが、生地が厚めのチャンピオンにすりゃ良かったと大変後悔したものです。
チャンピオンと言えば思い出しますなぁ。
走幅跳びの大御所ラリー・マイリックスと、デブロン・ダーンという若者が、チャンピオンのジャージとサッカニーのシューズを履いてポーズする陸マガの広告を。
当時からチャンピオンは実力派のウェア専門ブランドとして確固たる地位がありましたよね。
デザインは良い意味でクセがなく、質実剛健な造りだった印象です。
ついでに言えば、私が30年近く前に買ったスウェットは未だに糸のほつれや生地の擦れ、袖の弛み等一ヶ所もございません。チャンピオンはすんごい仕事してますよ。
以上、長々と語りましたが、懐かしんで頂けたでしょうか?
最近のウェア事情は全然知りませんが、今は昔よりもスポーツブランド品が身近になったような気がします。
たまに、おじいちゃんがアディダスのランニングシューズを履いて散歩してるのを見ると、時代は変わったなぁと、少し寂しくもなります。
これからもトレンドは移り変わるでしょうが、青春時代、いつも側にあった物への愛着というのは、いつの時代も変わらないでしょうね。
こんな話、なかなか人に話す機会もないのでブログでやっちゃいました。
最後までお付き合い頂き、大変ありがとうございました。