今回は松任谷由実と中島みゆきの御二人を語ります。
なぜ二人セットかと言うと・・
私は昔から流行りの歌謡曲が大好物でして、
歌う人に拘らずコレクションしてるんですね。
そうすると、やたら目につくんですよ、この二人が・・
本人が歌ってるものは勿論、他の人に提供した曲の数々も実に私の心を揺さぶるんです。
私はどちらの方も、取り立ててファンという訳ではないので、
アルバムをじっくり聴いたことがありません。
しかし、私が歌謡曲を聴き始めた40年近くも前から今日まで、
この二人の楽曲が常に日本歌謡シーンで鳴り続け、
私の頭に残り続けているという事実・・
これは途方もないことだな、と思ったんです。
歌謡界というのは大海原ですからね、他にも素晴らしいアーティストは沢山います。
でも、これだけ長年に渡ってクオリティの高い歌謡曲を提供し続け、
かつ国民に愛され続けているアーティストが一体どれだけいるでしょうか?
正直、私はこの二人よりも吉田拓郎やサザンの方が好きです。
しかし、歌謡曲という土俵においてユーミンと中島みゆきの楽曲は、
どんな大御所達をも凌駕している、と認めざる負えません。
吉田拓郎は中島みゆきの才能に一目置いてますし、
桑田佳祐は過去に「俺はユーミンになりたい」発言をしたくらいですからね。
さてさて、この御二人は日本歌謡界で突出したシンガーソングライターでありながら、
その作品は見事なまでに対照的です。
卒業式の歌一つとっても、
「・・でも、そのままでいいの。ただのクラスメイトだから・・」
と、好きな男子の横で告白できない健気な女子を明るくポップに仕上げたユーミンに対し、
「卒業だけが理由でしょうか?寂しくなるよ?・・それだけですか?」
と、好きな男子に対面で詰め寄る情念の濃い女子を悲しい旋律に乗せた中島みゆき。
ここまで違うんです。面白いですよねぇ~
二人の凄さは、こんなに描く世界が違うのに、
ちゃんと卒業式の歌としてハマっちゃってることなんですよ。
ん~・・まさに日本歌謡界の陰と陽。
他の曲でも、恋人がサンタクロースだったり、ルージュで伝言したりと、
女子力たかーっ!の曲が目白押しのユーミンに対し、
中島みゆきは、好きな男に遊ばれるのは日常茶飯事で、
道に倒れて男の名を呼んだり、しまいには「恨みます」まで言っちゃいます。
言います?普通。
そういえば、昔ラジオで「わかれうた」の冒頭
「♪途に倒れて誰かの名を呼び続けたことがありますか~」
を聴いたリスナーの女子が、
「ヤダー、こんなのあり得な~い」
と耳を疑うようなコメントをしたことがありましたが、その時私は、
「バカモノーッ!!あり得ないくらい惨めな女を演じきれるからこそ、
中島みゆきはカリスマなんだよっ!」
と怒鳴り付けてやりましたよ。もちろん心の中で。
さて、この二人に限らずですけど、
余りある才能を持つシンガーソングライターは他の人に楽曲提供した時、
物凄い威力を発揮することがあります。
ユーミンが特にそうだと思うんですけど、例えば・・
バンバンが唄った「いちご白書をもう一度」とか、
石川ひとみが唄った「まちぶせ」だとか。
どちらもユーミン本人が歌うのはちょっと・・な曲ですが、
それぞれの歌い手さんが見事に演じて、大ヒットしました。
「まちぶせ」なんて、タイトルからしてドキドキしませんか?
こういう曲が普通にあった70~80年代の歌謡曲はやっぱりいいなぁ~って思います。
ユーミンは松田聖子をブレイクさせた立役者の一人でもあり、
角川映画黄金期にも珠玉のテーマソングを提供してますよね。
あと、ユーミンと中島みゆきに共通する点で私が心底唸ってしまうのは、
二人とも当然、色んな音楽に影響受けてるのでしょうが、
生み出す楽曲はオリジナリティ溢れる、あくまで「歌謡曲」なんですね。ブレてない。
しかも、かなりのクオリティと純度の高さです。
そこだけ比べるのも何ですけど、桑田佳祐の場合、
歌謡曲を装う節があったり、憧れの洋楽に寄ったりとフラフラしてます。
本人は遊び感覚でしょうが。
曲のテイストは様々ですけど、歌謡曲ならではの情緒をベースに、
女性ならではの想いを歌い続けてるからこそ、
ユーミンと中島みゆきは時代を越えてカリスマなんだと思います。
この、日本歌謡界最強の陰と陽の二人、
もしユニットだったなら、凄いことになっていたでしょうね。特にライブでは・・
今回をキッカケに、私も御二人のアルバムをじっくり聴いてみたいと思います。
きっと、まだ知らぬ名曲が沢山あるのでしょうね。楽しみ楽しみ!
今回も最後まで読んで頂き、大変ありがとうございました。