【陸上】三段跳びで14mを跳ぶためのホップのコツを元県高校記録保持者が解説

三段跳のホップは距離を欲張ってはダメなことは、みなさん知ってますよね?

しかし、ホップを「抑える」という表現は適切ではないです。

抑えるのではなく、力のベクトルを「最適な方向へ変える」だけなんです。

今回は、三段跳の沖縄県高校記録を30年間保持した筆者が、ステップージャンプをより活かす為のホップのポイントを解説します。

これを理解して、助走とホップを一体化させるセンスに磨きがかかれば、14mを超えるのは決して難しくないと思いますので、最後まで噛み砕きながら読んで下さいね。

1. ホップの捉え方

1)ホップで目指すこと

ホップで目指すことは何でしょう?それはズバリ、

助走のスピードを殺さず、

ステップへ上手く繋げる体勢を作りながら、

できるだけ遠くへ跳ぶことです。

そんな欲張りな・・と思うかも知れませんが仕方ありません。

スピードと距離の最大公約数を叩き出すことがホップでの絶対使命なんです。

しかし、ホップの距離を欲張るとステップが死に、逆にホップの距離を抑えると、ステップが生きる代わりにジャンプが死にます。

どこかを殺してどこかを生かすような跳躍では良い記録は望めません。初心者は別として。

ホップ、ステップ、ジャンプ全てが生きる、Win-Win-Win の跳躍を目指すべきなんです。

これがなかなか難しいんですけどね。

2)ホップの割合は気にしない

ホップの割合は跳躍全体の何%が理想だとか、そんな数字には囚われないで下さい。

それは個人のタイプで違いますし、3歩合計の距離が伸びるなら、別に何%だっていい訳です。

その人の三段跳が完成した結果、ホップの割合は●%になりました、というだけの話ですからね。

3)ホップは利き脚で跳んだ方が良いか?

三段跳はホップとステップを同じ脚で跳ぶので、ここを利き脚にした方が有利だと思いがちですよね。

しかし、私の答えは「どっちでも良い」です。

なぜなら、利き脚と反対脚のパワー差はトレーニングで補えますし、どっちみちジャンプは利き脚で跳ぶ訳ですから、ここで距離を稼いでも良い訳です。

それより肝心なのは、フィーリングです。実際に跳び易い脚の方で跳ぶ。シンプルにそれがベストだと思います。

ちなみに私は、利き脚でジャンプを跳んでました。なので、ジャンプには自信がありましたし、実際に距離も稼いでました。

今思えば、ホップとステップが利き脚でなかったことで、自然と低めでシャープな跳躍になり、得意なジャンプがより生かされた気がします。

結論に戻りますが、利き脚をどこで使うかは、跳び易くて、その人の個性を生かせるなら、どっちでも良いということです。

ただ、フォームが固まった後に踏切脚を変更するのは大変だということだけは言っておきますね。

余談ですが、アメリカのクリスチャン・テイラー選手が世界一になった後、踏切脚を変えて世界歴代2位の大記録を出した時は大変驚いたものです。

たぶん彼は従来の跳び方に限界を感じて、世界記録を狙う為に思い切った賭けに出たんだと思います。相当努力したでしょうね。

4)ホップの踏切りでダブルアームは有りか?

海外選手に多い、ホップ踏切りでのダブルアーム。これはどうでしょうか?

私の答えは「その方がステップでのダブルアームのタイミングが取りやすくなるならば有り」です。

ただ、ステップでのダブルアームに支障がないなら、ホップはシングルアームで跳ぶに越したことはないと思います。その方がシャープに踏み切れるので。

念のため言っときますが、ステップをシングルアームで跳ぶ人は、ホップをダブルアームにする意味はないです。

この腕振りに関しては別記事、三段跳のフォームはシングルアームとダブルアームどちらが有効か?も参考にしてみて下さい。

2. ホップ実践のコツ

1)踏切りのポイント

① 上体は垂直に立てて踏切板を「叩き押す」

ホップの踏切りでは、上体を垂直に保ち、踏切板が重心の真下を通過する直前のタイミングで、トンッと素早く「叩き押す」ように踏切ります

例えるなら、ハードルを越える踏切りと走幅跳の踏切りの中間、つまり「押す」と「叩く」の中間、「叩き押す」のがホップでの踏切りイメージです。

踏切りの接地時間はなるべく短く、更に加速を付けるくらいの意識で跳び出しましょう。

跳び出した後の踏切り脚は、意識して伸ばしたり、お尻の下に巻き込む必要はありません。

意識すると身体が硬くなってステップに繋げなくなりますので。

② 素早い腕振りとブロック

素早い腕振りは、素早いリード脚の振り上げを誘導して、踏切りの接地時間を短くできます

ちなみに、先程ホップでのダブルアームは望ましくないと述べたのは、腕を素早く振ることとタイミングを取るのが難しいからです。

加えて、腕振り後の「ブロック」も重要なスキルです。

ブロックとは、腕を振った直後に急ブレーキをかけて身体を浮かせること

衝突した車から人間が飛び出す現象と一緒ですね。

速いスピードで衝突するほど人間はふっ飛ぶ訳です。恐い例えでスミマセンが。

ブロックは腕だけでなく、肩まで使ってダイナミックにやるほど効果的です。

素早い腕振りとブロックの連動が上手く出来るようになれば、踏切りで身体を浮かすことが容易になります。

容易になるから、空中で余裕ができて、ステップへの体勢が作りやすくなる、という好循環が生まれる訳ですね。

2)空中動作のポイント

空中に跳び出したら、ステップ踏切りに向けての準備動作に移りますが、ここでのポイントは下記の2つです。

① 脱力する

ホップでは、踏切りで捻られた身体軸(腰と上体)を空中で逆方向に捻り返すという、不自然な動きをしなければなりません。

空中で力が入ってしまうと、身体軸が十分に捻れ返せず、踏切り脚のスイングも中途半端になって、ステップで潰れる可能性が高まります。

なので、空中動作でまずやるべきことは、踏切りで跳び出した瞬間から脱力を始めて、身体軸をニュートラルにすることです。

② 腕の肘をなるべく後方にもっていく

脱力後は、踏切り脚側に身体軸を捻り返しますが、ここでは踏切り脚側の腕の肘をなるべく後方にもっていくのがコツです。

そうすれば自ずと身体軸は捻れ、腰が十分乗ったスイングに移行することができます。

このコツはシングルアーム、ダブルアーム共通ですが、特にダブルアームの場合は余計に意識しないと難しいでしょう。

空中動作の後半はステップ踏切りに向けてのスイング動作に移行しますが、それについては別記事、14mを跳ぶためのステップのコツ~を参考にしてみて下さい。

3. ホップが上達する主な練習メニュー

リズムジャンプ

踏切り3歩前からのリズムや歩幅の調整力、踏切りの叩き押すタイミング、効果的な腕振り等が身に付きます。

全助走~ホップまで

高いスピードでスムーズに踏切れる技術が身に付きます。

動きのトレーニング(振り出し)

空中での腕の動かし方、身体軸の捻り方を身体に覚えさせます。

短助走跳躍

様々な助走距離で跳ぶことによって、自分に合ったホップの入り方が分かってきます。

※それぞれの詳しいやり方については別記事、三段跳に有効なトレーニング10選で解説してるので、各練習のコツを意識しながら何度も反復して下さい。

そうすれば本番でも理想の跳躍に近づけると思いますよ。

今回は以上です。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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