名曲「おやじの唄」に見る吉田拓郎の凄さ

※ 写真はイメージです

世の中には、父や母への想いを歌った曲が沢山ありますよね。

表現は違えど、どれもイイ話の感動的な曲ばかりです。

ところが、私の敬愛する吉田拓郎がこれを歌うと、だいぶ雰囲気が変わってきます。

とりあえず、吉田拓郎作詞作曲「おやじの唄」の歌詞全文をご覧ください。

おやじが全てだなんて言いませんよ

僕一人でやった事だって沢山ありましたよ

一つだけ言ってみたいのは

おやじが人を疑うことを教えてくれたこと

おやじは悲しいくらいに強い人でしたよ

おやじが全てだなんて言いませんよ

僕一人でやったことだって沢山ありましたよ

一つだけ言ってみたいのは

おやじが人を裏切ることを教えてくれたこと

おやじは泣きたいくらいにひどい人でしたよ

おやじが全てだなんて言いませんよ

僕一人でやったことだって沢山ありましたよ

一つだけ言ってみたいのは

おやじが人を愛することを教えてくれたこと

おやじはみじめなくらいに一人ぼっちでしたよ

おやじが全てだなんて言いませんよ

僕一人でやったことだって沢山ありましたよ

一つだけ言ってみたいのは

おやじが生きると云うことを教えてくれたこと

おやじはやるせない位に精一杯でしたよ

おやじが全てだなんて言いませんよ

誰だって一人でできること位ありますよね

一つだけ言ってみたいのは

おやじがいつもの口ぐせ通りに生きぬいてみせたこと

おやじは誰にも見られずに死んでいきましたよ

おやじが全てだなんて言いませんよ

だけどおやじもやっぱり人間でしたよ

死んでやっと僕の胸を熱くさせましたよ

死んでやっと僕の胸を熱くさせてくれましたよ




いかがでしょう、この曲の凄さが分かって頂けたでしょうか?

まず、初っぱな、父親の否定から入ります。

いいですか、親父さん死んでるんですよ。

この期に及んで、なお否定するんです。凄いですねぇ~

そして、親父はヒドイ人だったとか、親父から人を裏切ることを教わったとか、

冷酷とも思えるようなセリフが淡々と語られていきます。

しかし、皆さんは途中から気付いたかと思います。

「一つだけ言ってみたいのは・・」と突っ張っておきながら、決して一つでは終っていない。

つまり、良い事も悪い事も混ざった複雑な感情が、何度も何度も込み上げてくるというところに、この曲のメッセージがあります。

感謝の言葉だけでは片付けられない、片付けたくない、父親と息子の複雑な関係性を見事に表現してると思うんです。

演奏もシンプルな弾き語りで実に心に染みます。これぞ、武骨な拓郎節。

ジョン・レノンの「mother」に勝るとも劣らない名曲です。

さぁ、それでは御本人に歌って頂きましょう ⇒ 本人登場

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