三段跳び面白そうだけど教えてくれる人いないし、何をどうすればいいのかサッパリ・・
あなたもそんな初心者の一人でしょうか?
三段跳びは陸上競技の中でも特に難しくて、技術の習得に時間がかかる種目の一つです。
しかし見方を変えれば、理にかなったコツさえ掴めれば、大幅な記録更新も期待できる、ともいえるのです。
という訳で今回は、三段跳の沖縄県高校記録を30年間保持した筆者が、三段跳び初心者の方向けに、基本の三段跳びのコツ、ポイントをわかりやすく解説します。
基本ということは、これからあなたがステップアップしていく上で大変重要なことですから、噛み砕きながら最後まで読んで頂ければ嬉しいです。
三段跳びの基本ルール
まず最初に、三段跳の基本ルールを説明します。
① 助走をつけた3歩合計の跳躍距離を競う。
② 1歩目(ホップ)と2歩目(ステップ)は同じ脚で跳び、3歩目(ジャンプ)は反対脚で跳ばなければならない。
③ 踏切板から足が出たらファウルで試技は無効。なお、踏切板手前から跳んでも踏切板からの計測となる。
大体みなさん知ってる内容だとは思いますが、私が三段跳びを始めた時、②のルールを知らなかったので、念のため記述しました。
さらに詳しいルールが知りたい方は別記事、三段跳びのルールとその魅力を元県高校記録保持者がわかりやすく解説を参考にして下さい。
それでは三段跳のコツ、局面ごとのポイントを解説していきます。
助走のポイント
三段跳びの助走では、スピードとリズム(テンポやアクセント)の両方が重要なのですが、初心者のうちはまず、スピードを妥協しましょう。
はじめは走高跳びをするくらいのスピード、助走距離でも構わないので、ピッチをあまり上げずテンポ良く少し弾むように走ってみて下さい。
それで、ホップ・ステップ・ジャンプの滞空時間がほぼ均等に跳べるかどうか?
どこかが極端に小さくなったり崩れるようなら、走りのテンポやアクセントを微妙に変えながらトライしましょう。
なぜ、スピードよりもリズムを優先すべきかというと、どんなにスピードがあっても、その人の跳躍に合ったリズムの助走でなければ三段跳は跳べないからです。
チャッ、チャッ、チャッ、と走ってきていきなり、グヮワーン、グヮワーン、グヮワーンとは跳べません。
グン、グン、グンと走ってきてはじめて、グヮワーン、グヮワーン、グヮワーンと跳べるんです。
それに、どんなにパワーがある選手でも、ステップやジャンプでの接地のタイミングがズレると潰れます。
そのタイミングを合わせやすくする為にも、予め助走でリズムを作っておく必要があるのです。
自分のリズムを掴めないまま助走距離を伸ばすと、必ず跳躍が崩れます。
ここは焦らず、自分の跳躍に最適なリズムをキープしながら、少しづつに助走距離を伸ばしていきましょう。
上達すれば、助走前半を加速用の走り、後半をリズム用の走りに切り換えるという技術も身に付いてきます。
詳しくは別記事、三段跳びの助走のコツと助走距離の決め方で解説してるので参考にして下さい。
ホップのポイント
ホップは次のステップに備えて、やや低空で跳ばなければなりません。
高く跳び上がると、ホップ自体の距離は伸びますが、次のステップでは落下の衝撃で潰れます。
なので、決して走幅跳びのように跳び上がらず、どちらかというとハードルを越えるような角度で跳び出しましょう。
タイミング的には、踏切板が自分の身体の真下に来る直前に、素早く踏切板をトンッと「叩き押す」ような感じです。
踏切時に素早く腕を振ることができれば、より楽に跳び上がることができます。
単に速く腕を振るのではなく、肩まで使って、空中に身体を引き揚げるイメージでやりましょう。
跳び出す時に腰が退けてはいけません。むしろ腰を前へ送り出す感じで跳び出しましょう。
空中では走ってるような動きで両脚を交差させます。
つまり、踏切脚はお尻の下で折りたたみながら前方へ、反対脚は伸ばしながら後方へ流します。
これは次のスイング動作の前準備ですが、肝心なのはリラックスです。ぎこちなくならず、自然な流れでやれるようにしましょう。
空中で両脚を交差させると同時に、踏切脚側に腰を捻る(入れる)必要があります。
そうしないと、力強いスイング動作ができない上に、ステップ踏切りの時に腰が乗りません。
ちなみに、踏切脚側の腕を意識して後方へ持っていくようにすると、腰の捻れが容易になります。
ある程度上達したら別記事、【三段跳】14mを跳ぶためのホップのコツを元県高校記録保持者が解説も参考にしてみて下さい。
ステップのポイント
ステップは、空中で折りたたんだ踏切脚を勢いよくスイング(爪先を上げて振り下ろす)して、地面を引っ掻くようにして跳びます。
決して地面に着くのを待って、脚のピストン運動で跳んではいけません(私が最初そうでした)
スケボーに乗って地面を蹴る(漕ぐ)ようなイメージと言えばわかりやすいかも知れません。
スイングした足は、直立した状態よりおよそ半足分前の地面に接地させます。
踵からではなく、足裏の下半分、あるいは、くるぶしで地面を捉えるようなイメージで行いましょう。
足が接地してから離れるまでの間、上体は垂直に立てて踏切脚に腰(重心)をシッカリ乗せましょう。
脚というよりは、お尻の上の部分で衝撃を受け止める(引っ掛ける)イメージです。
ステップの空中では上体を垂直に保てるかどうかがカギとなります。
そうするには、振上脚の膝を高い位置(腿が平行になるくらい)でキープし続けることがポイントです(記事頭のジョナサン・エドワーズ氏の写真がまさにそれです)
これで上体が前のめりになるのを防ぐと同時に、次のスイング動作にも勢いがつけられます。
また、ホップの時と同様、ここでも腰を十分に捻りましょう。
キープした振上脚(ジャンプでは踏切脚になる)をギリギリまで待って、一気にスイングを爆発させること。これが「タメ」です。
これがキマれば大ジャンプを生みますが、力み過ぎたり、タイミングがずれると逆効果になります。
ある程度の滞空時間も必要なので最初はうまく出来ないかもしれませんが、目指すべきこととして覚えておいて下さい。
ある程度上達したら別記事、【三段跳】14mを跳ぶためのステップのコツを元県高校記録保持者が解説も参考にしてみて下さい。
ジャンプのポイント
踏切の基本要領はステップの時と同じですが、最後の踏切なので、思いきり高く跳び上がって距離を稼ぎましょう。
空中では身体をくの字にたたんで、両脚を高く上げます。
そして、踵をなるべく遠くの砂場に落とし、同じ地点にお尻を滑り込ませるように着地します。
これが上手く出来ないと、前につんのめって、数十cm記録をロスしかねません。
まとめ
一通りポイントを解説しましたが、簡単にまとめると次のようになります。
① 助走はリズム良く弾むように走る
② ホップは高く跳ばない
③ ステップは腰を入れたスイング動作で跳ぶ
④ ジャンプはタメを活かして高く跳ぶ
⑤ 着地は脚を高く上げ、踵が着いた地点にお尻を滑り込ませる
これらを一度にクリアするのは難しいと思いますが、やれそうなものから徐々に習得していって下さい。
ちなみに、腕の振り方も重要なポイントなのですが、身体軸と下肢の使い方を習得するのが優先なので、今回はあえて触れませんでした。
ひとまず自分が跳びやすい腕の振り方でオッケーです。
ある程度上達してきたら別記事、三段跳のフォームはシングルアームとダブルアームどちらが有効か?も参考にしてみて下さい。
それでは最後に三段跳選手にとって大事な心掛けをお伝えして締めます。
① 常にゴキゲンでいよう。心が弾めば体も弾む。
② 理想の跳躍イメージを常に思い浮かべよう。
③ 自分でよく考えながら練習するクセをつけよう。
④ ケガは大敵。必要な無理と不必要な無理を見極めよう。
以上!みなさんの健闘を心から祈ります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。